東京大学は、従来から有している知的資源を生かし、研究と教育の活性化を図りつつ、サステイナブルなキャンパス実現に向けて、2008年7月に総長の強いイニシアティブにより東大サステイナブルキャンパスプロジェクト(Todai
Sustainable Campus Project, TSCP)を立ち上げ、先導的な試みを実践することによって、サステイナブルな社会の実現への道筋を示すことを目的に、各種事業を推進しています。
TSCPが対象とすべき環境負荷は多岐にわたりますが、今日の問題の緊急性、困難性と大学が先導的役割を果たす必要性の高さから、温室効果ガス排出削減による低炭素キャンパスづくりを最優先課題として取り組んで参ります。
1.基本理念
温室効果ガス排出の少ないキャンパスを実現するために、的確な状況把握(サステイナビリティ・モニタリング)を行いながら、低炭素化を実現するために的確な対応設計(サステイナブル・デザイン)を実施するとともに、総合的な実施・評価を行います。
これにより、今後目指すべき持続型社会モデル(サステイナブル・社会モデル)を提案していきます。またこれらの相互関係や相乗効果を勘案し、同時進行的に効果的・効率的に実行する“共進化システム”を構築し、これらを通じて、持続可能な低炭素社会を目指すわが国のモデルケースを教育機関として実現します。また、国内外の大学間のネットワークを通じてこれらの試みを世界的な大学の動きにつなげていくと共に、その動きを社会へと波及させていく。
さらに社会における低炭素型の技術と対策の普及をリードすることによって、低炭素社会実現に向けて経済的な波及効果をもたらすことを目指しております。

2.アクションプラン
TSCP が発足した 2008 年に、エネルギー使用に係る CO2 排出量の削減目標を公表しています。2006 年度を基準年度に 2030 年度に
50%削減(TSCP2030)を目指しています。これまでには短期目標として TSCP2012 、中期目標として TSCP2017 を設定し各部局の協力を得て達成しました。
また、2023 年度末には 2017 年度排出実績から 18%削減する目標(TSCP2023)も達成しました。 今後も大きな目標であるTSCP2030達成を目指して、大学構成員が一丸となってCO2排出量の削減を進めて参ります。
最新のCO2排出量に関する情報については、環境報告書をご覧ください。
環境報告書URL:https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/actions/public05.html
3.東京大学における温室効果ガス排出についての現状
TSCP目標の基準年度である東京大学全体における2006年度の二酸化炭素年間排出量は約14万3000ton-CO2/年※となっております。このCO2排出総量は、日本全体の排出量の約0.01%に相当しております。特に大学の中で延床面積の大きい本郷地区キャンパスは総量としては東京都の業務系事業所の中では最大の二酸化炭素排出者となっております。
二酸化炭素排出の主たるエネルギー源となっている電力については、現時点で入手可能な情報に基づいて推定すると、 用途別の電力消費量の実態は、約3割強が実験機器、3割が空調、2割が照明、2割弱がその他の一般機器となっております。また床面積あたりの電力消費量は、理科系部局で20
kWh/月・m2(240 kWh/年・m2)、文科系学部で6 kWh/月・m2(72 kWh/年・m2)程度となっております。
※2006年度のエネルギー使用量実績値に、換算係数として、
電気:0.368kg/kWh、
都市ガス:2.31kg-CO2/m3、
A重油:2.71t-CO2/kℓを用いて計算した排出量総量になります。